たまにオーラを感じる人を目にすることがある。
実際に目に見えるわけではないので
感じているのは多分、雰囲気なんだろう。
19歳の頃に通っていた大学で、私は建築やインテリアなど、住環境に関することを学んでいた。
あるとき自由参加の講演があり、外部から講師が来るという。
私は仲のいい友達と2人で何気なく参加することにした。
講演が始まり、薄暗いホールの左手から入ってくる講師を見て、私は目を見張った。
小柄で、少しうつむき加減のその人は、深い紫色のような、なんとも言えない凄みのあるオーラを放っている。
このとき講師としてやって来たのが、建築家の安藤忠雄さんだった。
安藤さんは演台の椅子に腰掛けると、生気のない目で演台の少し先をじっと見つめているようだった。
目のまわりが黒っぽくて、その目もすごく印象的だった。
なんだこの人…
なんか、す、すごい…
オーラに気圧されていると、安藤さんが話し始めた。
その声には力があり、そしてなんと、コテコテの大阪弁だった。びっくりした。
印象的なオーラからは想像できないほど軽快な喋りで、型にはまらない自由で柔軟な考え方。それでいて力強さがある。
講演では、いろいろな制約がある中で大胆に、でも繊細に、スリットから光を取り入れた『光の教会』の話や、東京湾に海の森をつくって、東京駅周辺の風通しを良くし、東京の街に風を送ろうという壮大なプロジェクトの話を聞かせてもらった。
中でも印象に残っているのが
「考える力をぜひ持ってほしい」という話だった。
安藤さんのもとで学んでいる人たちの中に、某有名大学を出ている人たちがいて、そんな優れた人材であろう人たちが、日課である敷地内の樹木への水やりを、なんと雨の日にも行っていて、とても驚いたそうだ。「見てみぃ!雨が降ってるやんか」と声を掛けたけれど、本人たちは不思議そうな顔をしていたという。
安藤さんは「『大切なこと』は何か。人として、いつもその部分を考えてほしい、見つめてほしい」と言っていた。
放つオーラは芸術家で大物。
だけど人柄は人間らしくて魅力的。
私はすっかり安藤さんのファンになってしまい、講演が終わったあと、本にサインしてもらった。
安藤さんは深い紫色のオーラのまま、うつろな目で、列をつくった学生たちに次々サインしてくれた。そのギャップがまたかっこ良かった。
これまで見てきた人の中で、安藤忠雄さんが一番印象的なオーラを放っていた。
あとはロケでディズニーランド前に来ていた藤木直人さん、今田耕司さん、フジモン。この3人の中ではなんと、今ちゃんがめちゃめちゃ白く輝いていた。あまりに輝いているので、どこかのイケメン俳優なんじゃないかとよく確認したけれど、紛れもなく今ちゃんだった。笑
あと、浅草でたくさんの人に囲まれて写真を撮っていた東MAXも、つやつやなオーラがあって、一人だけ目立っていた。
嵐の松潤と相葉ちゃんがロケ終わりに車に乗り込むところも見たけれど、輝きようがハンパなかった。もはや人じゃなかった。テレビで見るより5倍はイケメンだった。
その他にも有名女優さんやアイドルの子、タレントさんも見かけたけれど、上に挙げた人たちのような印象的なオーラは見て取れなかった。
今まで出会ってきた人たちの中にも雰囲気のある人はいる。
だけどオーラを感じるかと言われると、どうだろう。
やっぱりたくさんの人から注目されていて、たくさんの人たちと触れ合う機会のある人のほうがオーラを纏いやすいのかもしれない。ただ、いくら有名でもオーラを感じない人もいるから不思議だ。
あっ、そういえば、私の弟!
弟は遠くから歩いてきたとき、「誰あの人!?」と思わせる白っぽいオーラがあったなぁ。まさかの身内。笑
人は知らずしらずのうちにオーラを纏うのだろうか。
私もぜひ、オーラを放っているような魅力的な人でありたい。