死後の世界

最近、お店で会うお客さんと、人生はあっという間だという話をした。
私がお客さんの帰りがけに「もう8月も終わりですね」と話しかけたからだ。

お客さんは笑っていた。「9月の終わりにもそう言っているんじゃないですか?」
「年をとれば、もっと早く感じるようになりますよ」

「本当ですね、どんどん早くなるもんなぁ」

私も気付けばもう35だが、いまだに信じられない。30からの5年間なんて本当にあっという間だった。このままじゃ40なんてすぐだし、50だってすぐだ。

こんなふうに、人生は一瞬に過ぎ去ってしまうものなんだろう。


お客さんは言っていた。
「私はね、最近死後の世界について考えることがあって
死んだ後っていうのはものすごい安楽の世界なんじゃないかって思うんですよ」

「へえ!わかります、私もそう思います!
どうしてそう思うんですか?」

「全身麻酔から目覚めるときの感覚でわかりますよ。ものすごく気持ちがいい、まったくの安楽の世界にいるところから、ぐわっとこの世に目覚めさせられる。そのときの重さというか、怒りがわいてくるような感覚がね。映画なんかでもよくあるじゃないですか、ミイラが蘇らせられて『吾を起こそうとするのは誰か!』みたいな」

うわーーー!
わかる、きっと、そうだよね。

肉体を持ってこの世を生きているという状態は、魂の状態でいるよりもまったく自由がきかなくて、身が重たいのだろう。魂の状態でいたときにはない「怒り」や「苦しみ」の感情。それはそれは重たかろう。

私たちの魂は本来とても身軽であり、もともと「すべて」で、満たされていた。
意識した瞬間にそのものを手にし、意識した瞬間に過去・未来を行き来する。
それが本来の姿だと、あらゆる人が言っている。

目に見えない世界の話で、誰も知らない世界の話だ。
でもなぜかしっくりくる。

誰でもいつかは必ず体験すること。

もともといた場所、もともとの存在に還る。
そのときにこの話が本当だったかどうかがわかるんだろう。

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